ツウのための2ドアサルーン

コーニッシュとは、南フランスはコートダジュールの湾岸沿いを走る風光明媚な道路の名前です。もともとはベントレーの試作車(1939年製)に使われていました。1931年からベントレーはロールスロイス傘下となっており、後にその名前がロールスロイスとベントレーの豪華なパーソナルモデルに使われることとなったのです。

60年代後半、ロールスロイス&ベントレーは4ドアサルーンのシルバーシャドウ&T1をベースとした2ドアスポーツクーペおよびドロップヘッドクーペ(オープン)モデルを、マリナー・パークウォード社に造らせます。

戦前のロールスロイスは、メーカーがナカミ(シャシーやパワートレーン)を造り、外板ボディパネルは外注先のコーチビュルダー、イタリアでいうところのカロッツェリア、が客のオーダーを聞いて好みのカタチを製作していました。マリナー・パークウォード(MPW)は1960年代まで英国に200、300社も存在したコーチビュルダーのトップ2、マリナー社とパークウォード社が合併して誕生した、言わば世界一のボディ製作会社だったのです。合併を主導したのもロールスロイス社でした。

71年、ロールスロイスおよびベントレーは2ドアクーペ&オープンの豪華で贅沢なモデルに“コーニッシュ”という名前を使うことになります。

コーニッシュのメカニズムは基本的に同じ年代のサルーンのものを使っていますが、ボディパネルはMPW謹製で、イメージこそシルバーシャドウなどに似るものの同じパーツは全くと言っていいほどありませんでした。つまり、スタンダードモデルとは全くの別物で、セダンの単なる2ドア版では決してなかったのです。製造に要する時間もスタンダードサルーンの2倍を要したと言われています。

搭載された伝統の6・3/4千cc(6747cc)のアルミ合金製V8OHVエンジンもまた、熟練の職人によるハンドビュルド品でした。

当時のコーニッシュシリーズには大きく分けて四種類存在します。最近、クラシックモデルとしてとみに人気のシリーズがアイアンバンパーの1stシリーズで、年代によって細かく分ければ6、7種類の仕様が存在すると言われています。

コーニッシュの歴史を大きく分ければ、キャブレター仕様がコーニッシュⅠであり、インジェクション仕様となり内外装がモダンになった86年以降がコーニッシュⅡ、90年以降のエアバッグ付きがコーニッシュⅢ、92年以降はフル電動式オープンと4AT(それ以前は一部手動の電動幌で3AT)のコーニッシュⅣ、となりますが、クーペボディのコーニッシュが存在したのはシリーズⅠのみでした。


西川淳の、この個体ここに注目!

77年式のコーニッシュです。

クラシック&ヴィンテージカーの世界では有名なガレーヂ・イガラシの所有となる個体で、もちろん自社で内外装および機関系のレストレーションを受けています。

なかでも仕上がったばかりという2トーンのボディカラーが目を惹きます。ロールスロイスのイメージとはある意味かけはなれたポップなコーディネーションですが、それがかえってマリナー・パークウォード製2ドアサルーンの魅力を引き立てているように思えます。

近寄ってつぶさに見てみると、なんとブルーもホワイトもパールが入っている。通常、クラシックモデルに最新のパールペイントを施すと、仕上がりがどこかチグハグな雰囲気になることが多いのですが、このクルマにはそれがありません。なぜならパールが非常に細かく、均等に散りばめられているからです。ペイント技術の高さを物語るものだと言っていいでしょう。ちなみに元色はホワイトでした。

ボディまわりのゴム類や前後ウィンドウのシールラバーも交換されていました。テールレンズも新しい。ダークブルーのインテリアもリペイント済みで、カーペットも新調されています。工具やジャッキなども揃っていました。

機関やアシ回りも入念に手が入っています。エンジン関係で交換されているのは、タペットカバーパッキン、ウォーターポンプ、ベルト類全て、ホース類全て、ラジエターコア、ヒーターバルブ、チョークヒーターパイプ、エンジンマウントで、キャブレターやオルタネーター、スターターはオーバーホール済みです。

アシ回りやブレーキ関係では、前後ハブベアリングシート、前後キャリパーシール&ピストン、ブレーキホース全て、ブレーキポンプシール、前後ブレーキポンプハイプレッシャーパイプ、下回りブッシュ&ブーツ、コラムシャフトカップリングラバー、リザーブタンク内クリーン・フロート、タイヤなどが交換されており、アキュームレーターは安心のカートリッジタイプへと換装されています。

オドメーターはわずかに6200キロ。新車並行物で実質的には1オーナー。前オーナーの話はとても興味深いものでしたが、公開は憚られます。ぜひオーナーとなって、そのあたりの逸話もぜひ、引き継いでください。

車両スペック

年式1977
初年度
排気量6,747cc
走行距離6,200km
ミッション3AT
ハンドル
カラーホワイト×ブルー
シャーシーNo
エンジンNo
車検なし
出品地域埼玉県
  • レポートは売り主さまへのヒアリングと現車の視認を元に構成されており、必ずしも掲載内容の裏付けが取れている訳ではありません。CARZYは掲載内容の正確性・無謬性を何ら保証しません。
  • 車両の状態を専門的にチェックしているわけではありませんので、何らかの不具合や故障が含まれる場合があります。また取材から日にちが経過することによる状態変化もあり得ます。掲載情報はあくまでも参考情報であることをご理解いただき、購入に際してはご自身の車両状態チェックとご判断を優先ください。
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