日常領域でも味わえる 官能性と速さのバランスのよさ

最新のV8+ミドシップのフェラーリのスペックを見ると、静止状態から100km/hまで僅か2.9秒、最高速度は340km/h。凄まじいパフォーマンスです。エンジンのパワーが720psと先代より50psもアップしてるということのみを考えても、進化の度合いが推し量れるというものです。

けれど一方で、そうした代替わりによる飛躍的な進化に微妙な倦怠感のようなものを感じるファンが増えてきているのも事実です。“使い切れない領域がそこまで進化してもなぁ”“また次のモデルが生まれたら露骨に差がつけられちゃうんでしょ”。そうした声を聞くことも、ここ数年でかなり増えてきました。

そうした方々の目が向いているのは、日常領域でも得られる快感とスーパーカーらしいパフォーマンスをバランス良く持ち合わせているモデル達。街中をちょっと転がしただけで“自分は今、フェラーリを走らせてる”という実感を濃厚な気持ちよさとともに心に直接届けてくれるようなテイストを持つ、かつての英雄達です。

その中で注目を集めている1台が、1999年から2005年まで作られた360モデナでしょう。その大きな理由のひとつが、背後に搭載される5バルブの自然吸気V8エンジンが奏でるサウンドです。まるでフェラーリのF1マシンを彷彿とさせる、高く鋭く大気を貫いて響き渡るかのような有機的なその音色は、前作だったF355と並んで、フェラーリV8ユニット史上最も美しいものと評されています。実際のところ、ほんの3分走らせただけで気分がスッキリと変わってしまうようなテイストは、現在のフェラーリからはちょっとばかり感じ取りにくい至福の美点だと思います。

F355の3.5リッターをベースにストロークを2mm伸ばすなど改良が加えられた3.6リッター・ユニットは、400ps/8500rpmと38.0kgm/4750rpmを発揮。トランスミッションは6速MTとパドル・シフトの6速F1マティックが用意されていました。0-100km/h加速タイムは4.5秒、最高速度は295km/hと、最新モデルと較べたら穏やかなものですが、でも、ちょっと冷静になって考えてみてください。それだってとても使い切れるレベルじゃありませんよね?

そのパワーユニットをマウントするシャシー。そこがそれまでのモデルと360以降を隔てる、ひとつの特徴といえるでしょう。鋼管スペースフレームやモノコックと鋼管の組み合わせではなく、押出し成形によるオール・アルミ製スペースフレームをフェラーリとして初めて採用したのです。その方式が最新モデルまで続く、その後のフェラーリのトレンドになりました。モダン・フェラーリの源流は、この360といってもいいでしょう。

そういえばスタイリング・デザインの面でも、F355までのトンネルバック・スタイルではなく、ベルリネッタではファストバック・スタイルを採用したのも、ミドシップ・フェラーリではこの360が最初でした。ちなみ多くの人はこの360モデナから車体が大きくなったと考えているようですが、実はF355と較べて全長こそ23cm近く伸びてはいるものの、全幅は2cmほどしか広がっていないのです。様々な曲面を組み合わせた姿が、そう感じさせるのでしょうね。

今になってじっくり眺めてみても、モダンでもありクラシカルでもあり、グラマラスでもありスリークでもあり、という実に巧みなデザインであると感じられます。ヒット作となったのも素直に頷けますね。


嶋田智之の、この個体ここに注目!

360の美点はエンジンのサウンドにあると記しましたが、この個体にはまさしく前オーナーがそこを愛していていた証ともいえるモディファイがなされていました。エキゾーストがクライスジーク製へと交換されており、車室内のスイッチで音量を切り替えることができるのです。もちろん好みの問題もあるでしょうが、ここはノーマル・パーツ有り。それ以外では後付けのナビゲーションシステムが取りつけられており、それはリアのナンバープレートの右上に取りつけられたカメラと連動してバックモニターとしても機能します。ヘッドランプがキセノンとなり、ドライブシャフトの遮熱カバーがステンレス製へと交換され各部に熱対策が施されるなど、一見すると全くのノーマルですが、細かな部分に手が加えられています。

純正のオプションとして、フルパワーシート、ヘッドランプウォッシャー、リアのチャレンジ・グリルなどが備わっていました。

フロントのノーズなどに飛び石により小傷が幾つか見受けられましたし、バンパーの下側には擦り傷も少々ありますが、それはこの個体が眠ってたわけでなくちゃんと走っていたクルマであることの証であるともいえます。それらを除けばボディのペイントにも艶はありますし、エンジン・ルームもフロントのラゲッジ・スペースの中も綺麗な状態。基本的なコンディションは良好といえるでしょう。

2003年式の新車並行車両で、取材時の走行距離は29777km。書類は車検証のみで取扱説明書などはありませんが、キーレスのスペアと工具キットは付属しています。

エンジンの吹き上がりも良好で、まだまだこれからという状態のクルマですから、猫かわいがりして飾るより、このクルマの官能性の高さを走ることで味わいたいという方に相応しい、といえるかも知れません。

車両スペック

年式2003
初年度20039
排気量3,586cc
走行距離29,777km
ミッション6AMT
ハンドル
カラー
シャーシーNo
エンジンNo
車検
出品地域三重県
  • レポートは売り主さまへのヒアリングと現車の視認を元に構成されており、必ずしも掲載内容の裏付けが取れている訳ではありません。CARZYは掲載内容の正確性・無謬性を何ら保証しません。
  • 車両の状態を専門的にチェックしているわけではありませんので、何らかの不具合や故障が含まれる場合があります。また取材から日にちが経過することによる状態変化もあり得ます。掲載情報はあくまでも参考情報であることをご理解いただき、購入に際してはご自身の車両状態チェックとご判断を優先ください。
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  • 購入後の車両の引き渡し・陸送は買い主負担となります。また車両の名義変更費用も買い主負担となります。
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