車両価格
3,700万円3,200万円
( 成約手数料込 3,255万円 )

天才が作った最後のFRスポーツカー

ロータスが作った最後のフロントエンジンのレーシングカーにして最初の市販ファイバーグラスボディモデル(11のワークスマシンを除く)。エアロダイナミクスにも優れ、重量僅かに400キロ。名門ブランドのレーシングカーにこれだけのお題目がつくのですから、11や19と並んでもっと有名になってもいいモデルのような気もするのですが・・・。

如何せんレーシングヒストリーに語るべきものがなかった、からなのでしょう。生産台数も1959年にわずか23台にとどまったこともあって、ロータス17は非常にマニアックなモデルとしてロータスファンのなかでもひっそりと知られているような存在です。

とはいえコンセプトはとてもロータス、否、チャプマンらしかった。創始者にして天才エンジニアだったコーリン・チャプマンは名作Eleven(11)がローラ・マーク1に負け始めると、すぐさま新たなレーシングカーを企画します。マーク1をライバルと見据え、それよりも軽く、小さく、空力に優れたマシンを設計しようと試みました。そうして生まれたのが17だったのです。

チャプマンのアイデアを元にレン・テリーが設計します。しかしチャプマンがこだわったサスペンション形式にそもそも問題がありました。フロントは改良型マクファーソン・ストラット、リアは有名なチャプマン・ストラットという組み合わせで、これが実戦でまるで役に立たなかったのです。テリー自身は設計段階から問題点を指摘していたようで、自身のアイデアにこだわるチャプマンと袂を分かつ事態にまで発展します。

ロータスをやめたテリーはカスタマーから17のモディファイを依頼され、フロントをダブルウィッシュボーン式、リアをド・ディオン式に改造します。その後ロータスも同じような改良をデリバリーした個体全てに施したと言われています。

エンジンはコベントリー・クライマックス。排気量は仕向地のレースカテゴリーにより750ccから1.5リットルまで4種類から選ぶことができました。


西川淳の、この個体ここに注目!

#661、非常にレアなロータス17の登場です。おそらく日本ではこの一台のみでしょう。記録によれば01年前後に日本へ輸入され、日本での2オーナー目にあたる現オーナーによってラフェスタ・ミッレミリア(09〜13年)など国内の有名なクラシックカーイベントに何度も出場している個体でもあります。

来歴をたどりますと1959年5月に最初のオーナーの元へとデリバリーされています。そこから1975年までのヒストリーが不明なのですが、75年から80年までは女性レーサーとして有名だったライアン・エンゲマンが所有していました。購入時には既に現役を引退していましたが、ロータスやチャプマンへの強い思いもあって、引退後の趣味=ヒストリックレース参戦のために購入したそうです。

その後はヒストリックカーレーサーやコレクターの元を転々(3オーナー、うち一人が2度所有)とし遠く日本の地へと辿り着きました。ここでは詳細に立ち入りませんが、エンゲマン以降の来歴は現オーナーが取り寄せた数々の証言やドキュメントによって明らかで、その間に何度か大掛かりなレストレーションも行われたようです。

もっともこの個体の興味深い点は、そんなオーナーヒストリーとは別にちょっと面白いモディファイが施されているところにあります。それはリアサスペンション。前述したようにロータス17の欠点は前後のサスペンション形式にありました。のちにロータス社自身がデリバリーした個体にも改良を施したほどです。ですからサスペンション形式がオリジナルとはまるで違っていて正解なのですが、この個体のリアはさらにナゾの改造が施されているのです。

よくよく観察するとそれは50年代のロータス製フォーミュラーマシン、特にジュニアのそれによく似ています(形式的にはF1と似ているとも言えます)。エンゲマンの時代にはこの仕様になっていたと思われますので、この改良は最初のオーナーもしくはオーナーシップの不明な時期のそれもかなり初期に施されたものでしょう。なぜならサスペンション形式を変えるほどの大改造は非常に競技的な発想で、ロータス17がまだ現役と考えられていた時代に実施されたとみるのが合理的だからです。またエンゲマン自身がこのマシンを“とても”楽しんだという発言の記録も残されていますので、彼女の手元に来た時点で足回りの仕様は現状のように改良され、完成されたマシンであったと推測されます。

いずれにしても改良されたロータス17のなかでもさらにレアな仕様へ“グレードアップ”され、サーキット走行向きのパフォーマンスを手に入れた個体だと言っていいでしょう。エンジンは1.1リットルのコベントリー・クライマックス。整備は相模原の有名ショップで行われています。

ナンバーが付いているとはいえ、元はと言えばピュアなレーシングカーです。乗りこなすにはワザとコツが必要になるでしょう。もっともそれこそが現代車にはない面白さ。ロータス最後のFRレーサーを乗りこなしてみたいと思う人に、ぜひ乗っていただきたい個体です。

レーシングカーゆえ、ピカピカのコンクールコンディションとは対極にあります。そのあたりも含め時代の雰囲気を楽しみながらサーキット走行などを楽しんでいただける方に引き継ぎでもらいたいものです。もちろん予算を投じてフルレストアするのも面白いでしょう。その際にはぜひ空白の15年を調査してみてください。何やら面白い物語=ミステリーが隠れていそうな気がしてなりません。初期オーナーの名前がMr. Priorというのも意味深です。ちなみにエンゲマンはベルギー在住でしたが、今は生まれ故郷のスペインはアルガルベ(有名なサーキットも近い!)で余生を過ごされているようです。

車両スペック

年式1959
初年度20018
排気量1,098cc
走行距離
ミッション4MT
ハンドル
カラーグリーン
シャーシーNoMK17661
エンジンNo
車検202312
出品地域群馬県
  • レポートは売り主さまへのヒアリングと現車の視認を元に構成されており、必ずしも掲載内容の裏付けが取れている訳ではありません。CARZYは掲載内容の正確性・無謬性を何ら保証しません。
  • 車両の状態を専門的にチェックしているわけではありませんので、何らかの不具合や故障が含まれる場合があります。また取材から日にちが経過することによる状態変化もあり得ます。掲載情報はあくまでも参考情報であることをご理解いただき、購入に際してはご自身の車両状態チェックとご判断を優先ください。
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  • 個人間売買サービスの性質上、消費税は不要ですが、売り主が法人の場合は消費税の取り扱いを売り主さまとご相談ください。原則としてCARZYは消費税込みで販売価格を設定しています。
  • 自動車税・リサイクル券等の法定費用は月割りで精算いただくことが多いですが、原則的に売り主/買い主双方の協議によります。
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  • 購入後の車両の引き渡し・陸送は買い主負担となります。また車両の名義変更費用も買い主負担となります。
  • あくまでも個人間売買サービスという性質をよくご理解いただき、車両は現状渡し、ノークレームノーリターンとします。
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